高校生の現代文テスト対策 夏目漱石『こころ』本篇①<先生とK>

 今回の『こころ』シリーズでは、最終的に「Kはなぜみずから所決(自死)したのか」ということを考える予定です。本篇の第1回として、「先生」と「K」がどういう人物であったのかについて、本篇開始にあたってすこし詳しく、整理しておこうと思います。

  「先生」は、地方の財産家の生まれです。しかし高等学校(旧制)在学中に両親が相次いで病死し、あとに残った叔父に欺かれ、父の残した財産の大部分をとられてしまいます。
 その財産問題を誤魔化すために、従妹である娘を自分に嫁がせようとした叔父の醜い欲に絶望した若き日の「先生」は、人間を信用しないようになりました。
 しかし、騒々しい下宿屋を出て一軒家を借りようと家さがしをしているうちに、軍人の未亡人の家に下宿することとなった「先生」は、その未亡人=奥さんの心配りと、一人娘の「御嬢さん」を交えた家庭的な生活の中で、だんだん明るさを取り戻していきました。

 一方「K」は、先生と同郷同窓の友人です。寺に生まれ、医者の家の養子になって、養家のお金で東京の高等学校に進学しました。しかし養父に嘘をつき、医学の道に進んでいるふりをしながら自分の求める学問を学んでいて、さらにそのことを大学進学とともに養父に自白したため、縁を切られてしまいます。
 意思の強い「K」は、夜アルバイトをしながら学費や生活費をかせぎ、昼は昼で学問に熱中します。しかし生活上の無理がたたり、神経衰弱のようになって、そのことが、「先生」が「K」を自分の下宿に住まわせる原因となっていきます。

  二人は、自他ともに認める親友でした。その親友である「K」を、「先生」が裏切り、結果として「K」はみずから所決することとなるのです。次回は、「K」が下宿に来た後の関係を、見ていきたいと思います。

  当サイトでは、みなさんの「読み」を補助し、加えてある程度、テストの参考になる指針をお示しします。追っていくつかのポイントごとに、問いかけと解答例をお示しします。ご期待下さい。

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