詩歌の基本①‐枕詞と序詞

 今年、平成26年2月24日実施の東京都立高校入学試験(学力検査/前期)の国語では、古典を扱う大問五で、「百人一首」に関する、歌人馬場あき子氏と水原紫苑氏の対談の文章が、主として引用されました。

 実は昨年も、「三大随筆」と呼ばれる鴨長明の『方丈記』について、長明の歌人としてのありように関する対談が題材でした。2年続けて、和歌(短歌)に関連する出題だったということです。新指導要領において、小3で俳句、小4で短歌を教え、日本の古い心を学ばせようという方向から考えれば、自然な流れなのかもしれません。

 私自身、「歌人」の一人でありますから、こうした状況下、特に多くの人が疑問に思われる、あるいはもっと端的に「わかりにくい」ことについてお話しするのも、私および当サイトの責務の一つであるかも知れないと思い、稿を起こした次第であります。

 「枕詞(まくらことば)」と「序詞(じょことば)」。古文を習う高校生に限らず、短歌を書こうと志す方からも時おり聞かれる、短歌独特の決まりのひとつです。ここでは「よく知らない、よくわからない」方を対象としますので、端的にまとめます。

・枕詞‐ある言葉を導き出すために、「あらかじめ決まっている」、主に5音、まれに4音の言葉。
  
  例) ひさかたの→光 ちはやぶる→神 たらちねの→母  など
     4音の例は、さねさし→相模  ももきね→美濃 など、ふるい地名に関して散見される

・序詞‐ある言葉を導き出すために、「その都度作者によって詠まれる」、主として2句(5・7)以上  
 の節。

  例)①浅茅生(あさぢふ)の小野のしのはら→しのぶれど 
    ②多摩川にさらす手作り→さらさらに  

   ①「しのぶ」を言うために、小野のしのはら までの序言葉全体を言う
   ②「さらさらに」を言うために、手作りの布を川にさらさらと「さらす」ことを言う

 これが、「枕詞」と「序詞」の性質であり、違いです。ここにお示しした「骨格」さえわかっていれば、さしてむずかしいものではありません。

 もちろん、枕詞は「覚えること」、「序詞」は、「読みとること」が大事です。そして、センター試験ではかなり頻繁に、私大一般入試の古文でも相当の頻度で、これらの理解も問われます。

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